セカンドライフの始めかた

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magslmagsl 2007/01/06

[ガイド] 未来の思い出 episode 004

「要領はわかってきたけど、なかなか思った通りにできないなぁ」
「はじめのうちは、難しいけど、やっていくうちにコツがわかってくるよ」
ロキとラブは、相変わらずサンドボックでオブジェクトを作っていた。
「あー、なんか変なんなっちゃった」ちょっとイラつきながらロキがつぶやく。
「えっ!? 変じゃないものを作ってたの?」ラブはからかうように笑った。
「結果として、変になっちゃったけど、初めから変なものなんて目指してませんよ」声を上げながらロキはふてくされる。
「変だっていいじゃないか。それが嘘偽りのない素顔のお前なんだから」
「いやいや、素顔が変なんて嫌ですよ」
「そうか? 変なものでも、心がこもっていればそれが一番だと思うよ」そう言うと、ラブは目の前に、不思議な形をしたオブジェクトをおいた。
「……それは?」ロキが珍しそうにのぞきこむ。
「あはは、変だろ? これ、何だと思う?」ラブが快活に笑いながら問いかける。
「うーん、カバン……にしては小さすぎるし、サイフにしては大きすぎる、それにこのなんとも形容しがたい豹柄の模様は……わかった。ジュエリーケースか何かでしょ?」
「灰皿だよ」
「灰皿ぁっ!? だ、だってこれ、豹柄ですよ? なんか、毛皮っぽい質感になってるし、大体どこに灰を落とすんですか!?」大げさすぎるロキの驚きっぷりにラブは笑顔で答える。
「さぁね、なんせタバコ吸わない人だったからな。……これをくれた人は」そう言うと、ラブは今までとは違った優しい目つきでそれを見つめた。
「これ、誰かからのプレゼントなんですか?」
「あぁ、俺がこの世界に来て間もない頃、今の俺とお前みたいな感じかな。色々と教えてくれた人だ」何かを思い出すようにゆっくりとラブは語った。
「あれは、まだ夏の暑さが残る季節だった。その時の俺は、人生に疲れ、ただ無気力に時間が過ぎるのを待つだけの、死刑囚のような好青年だった」
「そんなのは好青年って言わない」思わずロキはつっこんでしまった。
「身体はサプリメント漬け、ナイフみたいに尖っては、触るもの皆、キスしてた」思わず口を尖らせてしまうラブに、それはセクハラなのでは。とロキは思ったが口には出さずにいた。
「そんな時に現れたのが、……体長50mはあるかと思われる大怪獣だった」
「え? 何の話?」
「まぁ、大怪獣は現れただけで、別に特に何をしたというわけでもないので、どうでもいいのだが。そんな俺に正面から向かってきてくれたのが、ニクシコさんだった」ラブは、思わず遠くを見つめる。
ロキは、その遠くを見つめるラブの視線の先に、ひょっとしたら大怪獣でもいるんじゃないかと思わず見てしまった。
そもそも、なんで大怪獣のエピソードが挿入されていたのかもよくわからなかった。
「クニシコさんは、そんな俺を包み込んでくれるような大きな人だった。……そして大怪獣とタイマンもはっていた」
ロキは正直、その展開はちょっと読めたなぁと思った。
「クニシコさんからは色々なことを学んだよ。夜、水分を取りすぎないこと。人は一人で生きてはいけないこと。そして、宇宙空間において亜光速移動による重力変異が分子にどのような影響を与えるか」
すごいけど、最初と最後の二つは、割りかしどうでもいいんじゃないかな。とロキは半分のどまででかかった言葉を飲み込んだ。
「そんな彼が、最後にくれたものが、この灰皿さ。こいつを見ると、いつだって思い出すんだ。底抜けに明るく笑うクニシコさんの笑顔を」自嘲気味にラブは笑った。
しかし、その瞳の端から音もなく伝わる涙をロキは見逃さなかった。
ロキは、少しだけ湿ってしまった空気を振り払うかのようにわざと明るく言った。
「いいじゃないですか。その思い出があって、今のラブさんがいて、そしてその先に、僕がいて。それにきっとクニシコさんだって、ラブさんと同じような気持ちを持っていたと思いますよ。この灰皿には、そんな気持ちが詰まってるんだと思います」
「そうかな?」涙を悟られないようにか、ラブは目をぎゅっと硬く閉じたあとで頭を上げた。
「そうですよ。僕だって、ラブさんのこと……」そこまでロキが言いかけた時に。
「あ。ラブ。今夜暇?」と、短く金に輝く髪を切りそろえた若い男が声をかけてきた。
「あ、クニシコさん。暇だよ?」ラブは振り向きながら答えた。
「ええー! 生きてるじゃん! クニシコさん、ご健在じゃん!」思わずのけぞりながらロキが叫ぶ。
「え? 俺? 別に生きてるけど、何?」何が起こったかわからないような顔をしてクニシコは答えた。
「今ちょうど、クニシコさんの話をしてたんですよ。そしたらコイツが、あ。コイツ、ロキって言うんですけど。コイツが、クニシコさんが生きてると不服そうなことを言い出して」
「いや、違うよ! そういう意味じゃないよ!」慌ててロキが取り繕う。
「むしろ、生きる資格がないみたいな。クニシコウゼー。みたいなことを言ってるんですよ。コイツ、そういうやつなんですよ」ラブは、嬉々としてクニシコに伝えた。
「ちょ……。そういうことじゃないよ! なんか、ラブさんが、もういないみたいなことを言ったんで、そうなのかと思っちゃって」ロキは、もう手足を振り乱して弁解する。
「ふーん。話はだいたいわかったわ」
クニシコのその言葉に、ロキは、絶対わかってない。と強く思った。
「あ、ところでクニシコさん。昨日もらったこの灰皿ですけど。これやっぱ使いづらいっすわ」右手で軽く灰皿を持ちラブが言う。
「き、き、き、昨日!? 全然思い出になってないじゃん! 漬け置き期間短すぎるよ!」思わず、ロキは土盛りながら叫んだ。
それでも、ラブが自分以外の友人と話しているのを見て、ロキは不思議な感じがした。
明るく笑うラブに、もっと明るい表情で返すクニシコ。
モノとか、そういうものに関係なく、この二人の間には、やっぱり何か暖かいものがある。二人で通じ合っているものがあるのかも知れない。それはきっと、言葉には出来ない絆のようなものなのだろう。僕もあの中に入りたい。そして、自分にもそう思える友人がたくさんできたら、とロキは思った。
クニシコが呆れた顔で言う。
「だから、昨日何度も言ったじゃん。それ、灰皿じゃなくてジュエリーケースだって」
「ジュエリーケースじゃん! なんも通じてないわ、この二人」
ロキは腰が砕けながら、不思議そうに首をかしげるラブと、呆れた顔のクニシコの間に入っていった。


hiya.Loveでした。
締めちゃった!? ロキです。
今回は、パーミッションのお話です。
クニシコさんは、結局何者だったんだ。
さぁ、俺も良く知らない。
あんたは知ってろよ! 別に背だってでかくないし。怪獣と戦ったくせに。
あれは、心の大きさを表した表現だよ。
わかってるよ。ところで、パーミッションてなんですか?
パーミッションとは、単純に和訳すると許可とか承認とかなんだけど、パソコンやネットの世界では、使用できる権限などに使われるね。セカンドライフでもそう。
うーん。ピンとこないんだけど。
セカンドライフでは、すべての作られたオブジェクトは、そのクリエイターに著作があるんだ。それを守っているのが、パーミッションということ。
なるほど。やっぱりよくわからない。
基本的に、製作物に関するパーミッションは、三つの制限によって決められている。【修正】【コピー】【再販/プレゼント】の三つ。
うーん。ごめんなさい。ピンときません。
まず、覚えておいて欲しいのは、それを作った製作者は、すべての権限を持っているということ。【修正】も【コピー】も【再販/プレゼント】もできます。これが適用されるのは、次にこの製品を手にした人の権限です。
あぁ、自分で作ったものに関しては、好きなように出来るんだね。
そう。そこで次に手にした人のために権限を決めていきます。【修正】は、次に手にした人がそれを手直ししたりできるか。英語のModifyからMODと呼ばれることもあります。【コピー】は、そのまま。同じものを作れるかどうか。コピーで作ったものは同じパーミッションがつきます。【再販/プレゼント】は、さらに他の人に渡すことができるか。コピーできないものを人に渡してしまうと、自分の手元からは消えてしまいます。
あ、コピーがないっていうことは、自分の手元にも置いておけないのか。
これを組み合わせて、次に手にした人の権限を決めます。例えば、コピーはできるけど、人には渡せないもの、逆に人には渡せるけど手元に残らなくなっちゃうもの、自分で改造することができるものなど。
全部チェックするとどうなるの?
全部チェックしたものは、製作者と同じ権限があります。また、次に手にした人が、パーミッションを選択できたりもします。
でも、修正可能なオブジェクトなら、中身を見てコピーを自分で作ることが出来るんじゃない?
確かに、可能です。でも、テクスチャとかはMODできないし、コピー不可のスクリプトやノートカードは中身を見れないんだ。書き足したりとかはできるというちょっとややこしい感じになってるね。
パーミッションって、どこで変えるの?
一般的なのは、オブジェクトなどを出して編集画面でチェックを入れる形になるけど、インベントリーに入れたままプロパティからも変更が可能だよ。

 


あれ? コピー不可にすると、再販がチェックできなくなるんだけど……。
コピー不可の製作物は、自動的に【再販/プレゼント】ができる設定になります。チェックがついたままボタンが暗くなっちゃうね。
じゃ、コピーできて他人に渡せないか、コピーできて渡せるか、コピーできないで渡せるか。ってこと?
そうなんだけど、ややこしいのが、パーミッションを設定したものを入れた箱にもパーミッションを設定できるということがあって……。
ということは、箱が人に渡せるけどコピーできなくて、中身がコピーできて人に渡せないとか、ってなること?
そういうこともあるよ。その場合は、箱の状態でいじらなければ人に渡せる。中身を取り出してしまうと、人に渡せなくなるという、ちょっとややこしいね。
うーん、これはちょっと人に頼んで色々試してみないとわからないかな。
そうだね、言葉で聞いてもわかりづらいかも。まずは人からもらったりして試してみてからがいいと思う。商品として売ることになるとお金が絡むから問題は起こらないようにしなきゃいけないしね。
よくわからないけど、大切で難しいことだということはわかったよ。
じゃ、ここでナゾナゾです。頭がパーの人が受けるミッションはなんでしょう?
なんで、そんな危険なナゾナゾ出すんだ! 言いたいことはわかるけど色々とヤバすぎだよ。
答えは、ゆとり教い……イタタタタ。
もう、勘弁してください。

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