気がつくとロキは、その場所に立っていた。
瞬間、周りは何も無い状態から、建物の輪郭が見え始め、灰色だった景色に色がつき始めた。
ここが世界の果てなのかどうかはわからない。しかし、ロキには、自分を中心に世界が現れ始めたように思えた。
目の前には道がある。どこまで続くのかわからない。果てしなく続くようでもあり、すぐに終わってしまうようでもあった。
しかし、今のロキにはそれだけが現実だった。
ロキは道を歩き始めた。
景色が自分の背後にゆっくりと流れていく中、道の脇に人影らしきものが見えた。
どうやら座り込んでいるらしい、しかしその格好は乞食や物乞いなどの類とはまったくかけ離れた、形容しがたいものだった。
近づくにつれ、その形容のしがたさはさらに大きくなった。
変な形の帽子、そして原色の派手なシャツ、時代錯誤に裾の広がったパンツ、帽子からは乱れた髪がはみ出て風になびいていた。どうやら男のようだが、かなりこじんまりとした体格をしていて一見すると女性にも見えなくも無い。
その髪は、茶色というよりも、日の光を浴びてオレンジ色に輝いていた。
一言で言うならば、あまり係わり合いになりたくないタイプのファッションだった。
ロキは、それとなく道の反対側に身を寄せると、声をかけられませんようにと、心の中で思いながら通り過ぎることにした。
なるべくそちらを見ないように、早足に通り過ぎる。
不自然になり過ぎないように、全身に緊張を走らせ歩く。
その怪しい人影を通り過ぎたとき、少しだけ緊張を緩めた。
「危ないっ!」
不意に背後から声をかけられビクッと足が止まってしまった。
このまま、無視をして行くのも不自然だ。しかし、上げた片足はもう、重力に身をゆだね地面に着地したがっている。
「そこには落とし穴がある」続けて男は言った。
「え?」思わずロキは振り向いてしまった。
男は帽子を後ろにずらすと、ロキを見て微笑んだ。
口ひげとあごひげが綺麗に整えられ鼻の上にはオレンジのサングラスがわざとずらされて乗っている。
いい人には見えないが悪い人にも見えない、だからと言って友達になれるようなタイプでもない。知り合いの知り合いくらいにならいてもいいかもしれない。というような距離をおきたい感じだった。
もちろん外見で人を判断するのはあまりよくない。とはロキも思っている。しかし、今までの自分の人生においてあまり接触したことの無い容貌を前に、心よりも先に頭が接触を拒んでいた。
「落とし穴……ですか?」
無視するのもなんなので、ロキは質問で返した。
男は、立ち上がると、尻をパンパンとはたき、土を落とした。
立って見ると、座っていた時よりもさらに小さい感じがした。
男は、尻を叩き、執拗に土を落としている。
パンパンパンパスーンパスーンバシーンバシーン!
それはどんどんエスカレートしていった。
「ちょっ……もう大丈夫でしょ」
男は、下からのぞきこむようにロキを見上げると、ようやく尻をはたくのをやめた。
「あぁ、すまんすまん。どうやら一つのことに夢中になると他の事を忘れてしまうタイプでね、君が止めてくれなければ危うく新しい喜びに目覚めてしまうところだった」
何を言ってるんだ、この人は。
やっぱりおかしい。なんだか気持ち悪いし。
ロキは、振り返り、その場を立ち去ろうとした。
その瞬間、身体がガクッとよろけた。
自分の身体が無意識に思っていた場所に地面がなかった。
そこには、ほんの10cmくらいの小さな陥没した穴があった。
「むふふ。だから言ったのに」
ロキは、なんだか腹が立ってきた。この落とし穴のスケールのしょぼさも妙にむかつくし、それを見て笑っている男にも。
「なんなんですか! あなたは?」思わず八つ当たり気味に男に詰め寄ってしまった。
男は、ふぅと息を吐くと、また視線を上げた。それはロキを見ているようでもあり、またそのはるか遠くを望んでいるようにも思えた。
「人の名を聞くときは、まず自分から名乗るのが礼儀だぜ……ということは、今は俺が聞いているから俺が名乗るのが先か? いや、でもその前にお前が、あーでも俺も言っちゃったしなぁ、そうだ! いっせーのせで一緒に言おう」
何を言ってるんだこの人は。
「ロキです」
「いっせーっ ……えー!?」
冷たく、あくまでも冷静にロキは名乗った。
男の大げさなリアクションが妙に鼻について、ちょっと笑いそうになってしまって、そんな自分が嫌だった。
「それ、ルール無視じゃん! そんなこと言われたら、俺の名前が、いっせーっみたいになっちゃうじゃん。そんなの、ちょっと面白い名前じゃんか!」
大人気ない。なんというか、こんなに色々な意味でちゃんとして無い人ははじめてみた。第一次接近遭遇だ。こんなところで、思ってもみなかった、できれば思いたくも無かった出会いだ。
「ロキか、いい名前だな。よし、お前は今日からロキだ!」
「いや、今日からじゃなくて前からロキです!」思わずつっこんでしまい、そんな自分に自己嫌悪をする。
「俺は今日から、いっせーっだ、愛を込めて呼んでくれ」
あぁ、そうか。これは夢なんだ。きっと疲れてどうしようもない夢を見てしまっているんだ。それならばこの不条理な展開にも納得がいく。
「悪いけど、これは夢じゃないぜ」いっせーっが目を細めて言った。
「え?」心の中を見透かされたような気持ち悪さに思わず緊張が走った。
「なんで考えていることがわかったのか? って言う顔だな。なぁに、それほど難しいカラクリじゃない。なぜなら、ここに来る人間は、みんなそう思うからだ」
みんな? 他にも人がいるのか? こんな変な人じゃなくて普通の人が。自分と同じように普通のことを考えられる人間が。
「だから、俺はここで待っているのさ。落とし穴を掘ってな」
「あんたが掘ったのか! このセコイ落とし穴」
「セコイとは失礼だな。優しいと言って欲しい、別に地雷を仕掛けることだってできたんだぜ?」
どこまでが冗談でどこまでが本気なのかわからない。
「あぁ、あんたのおかげで命拾いしましたよ。ありがとう、さようなら」
ロキはそのまま振り返らずに歩き始めた。
怒りやら情けないやら色々な感情が胸の奥からこみ上げてくる。
結局、からかわれただけだ。まったく時間の無駄だった。
思わず歩く足に怒気がこもる。
変なやつには会うし、変なことにはなるし、なんでこんなに感情的にならなければならないんだ。
しかし、勢いよく踏み出した足は、またしても反射的に想像していた場所よりも低かった。
クソっ! また落とし穴か。
何度もくだらないことをやりやがって、ロキは振り返って叫んだ。
「おいっ!」
振り返った瞬間、身体がビクッとしてしまった。
遠くにいると思った男がまさに目の前にいたからだ。
っというか、近い! 普通に考えて、赤の他人が接する距離じゃない。
「大丈夫か? 人工呼吸とか、必要か? でも、あたい……ファーストキスだから」
「近い! 近い! もっと離れろ、そしてもう関わらないでくれ」
「それは無理な相談だ。俺はナビゲーター。君が来るのを待っていた」
ナビゲーター? なんなんだ、この人は。
「わざわざ落とし穴を掘ってか?」
「その落とし穴を俺が掘ったという証拠がどこにある?」
「さっき自分で言ったじゃないか」
「さっきの穴はそうだ。しかし、俺が落とし穴を掘ったからといって、すべての落とし穴が俺によって掘られたということにはならない。違うかな?」
思わず、二の句がつげなくなる。こんな、わけのわからない人に言い負けてる。なんなんだ、この人は。そして何で俺はこんなことをしているんだ。
「君はまだ、何も知らないし、なにもわからない。どこに落とし穴があるかもだ。しかし、それは何も今に始まったことじゃない。世界は君が見るだけ広がって、君が知るだけ深くなる」
「あなたは一体……」
「俺か? 俺の名前は……一世だ」
「そうじゃないだろっ!」
「ルイ一世だ」
「嘘をつくな!」
「じゃ、二世」
「そういう問題じゃない」
一世は、空を見上げ太陽のまぶしさにか、目を細めた。
つられてロキも空を見上げた。
空は、青い絵の具で塗ったようにどこまでも青かったが、見る場所によりグラデーションがかかってるようで、まったく同じ色というのはどこにもないような気がした。
「ところで、君はタバコを持っているか?」
「吸いませんから」
「謝らなくてもいい」そう言って、一世はタバコをくわえた。
別に謝ったつもりはなかったが、そんなことよりも、一世が何もないところから突然手品のようにタバコを取り出したことが気になった。
気のせいかもしれないし、よく見てなかったからかもしれない。
タバコの煙を吐き出した後に一世は言った。
「世界は君が思っているよりも、秩序が成り立っていて、そして君が思っているよりも、混沌にあふれている」
一世はそういうと歩き始めた。
ロキは、自分がどうしてこんなことになったのか、まだ理解できないまま、一世の横をついていく。
「うわっ!」
叫び声とともに一世は、落とし穴に足をつんのめさせられてそのまま転がった。
はやり、はじめて見た時の印象どおり、形容しがたい人間だ。
「俺にかまうな! ここは、俺に任せて先を急げ!」地面に寝そべったまま一世が叫ぶ。
ロキは、本当になんでこんなことになったんだろう、と後悔と同時に、心の中に少しだけワクワクするような気持ちが潜んでいるのに気がついた。
「それよりお前、その野暮ったい格好なんとかしたほうがいいぞ?」
こんな変な格好をした人に言われたくないと思ったが、ロキは黙っていた。
hiya.Loveだよ。
いきなり名乗ってる! 本編では名乗らなかったのに。あんた、まだ謎の一世のままですよ。こんにちは、ロキです。
知らないよ、そんな事情。上のつまらない小説みたいなのは、読み飛ばしていいんじゃないかしら?
つまらないとか言うなよ。書いた人に失礼だろ。
とにかく、この下の段では、色々なことを適当に教えるよ。適当にしか書かないから、ちゃんと調べたい人は自分の力でやってくれ。
しょっぱなから、なんというやる気のなさ。
今回は、アバターの容姿に関してだけど、基本的にアバターは、シェイプ、スキン、髪型、目玉、服(靴)で構成されてます。それに色々なオマケをつけてそれっぽくなってます。
結構面倒くさそうだね。
シェイプは体型、スキンは肌、髪は髪の毛なんだけど、実はこれで作られる髪形はダサいので使ってる人はあまりいません。代わりにプリムで作ったカツラをつけたりしてるね。
ラブさんのリーゼントもヅラだね。
目玉は、目の色や形、服は、アンダーパンツ、アンダーシャツ、靴下、手袋、シャツ、ジャケット、ズボン、スカート、そして靴だね。靴もプリム製のものを使っている人が多いかな。
服には、下に着るもの、上に重ねるものなんか色々あるんですね。
基本的に、ここで言ったものは、編集の容姿(EditのAppearance)か、アバターを右クリックしたときに出るパイメニューからいじれます。
服なんかは、袖の長さとかはいじれるけど、柄とかは違うのかな?
服の柄やスキンなどは、アップロードなどをした画像(テクスチャ)を指定することで変えらるよ。
ある程度スキルがないと、テクスチャとかは無理かなー。
そういう人は、あきらめて売ってるものを買えばいい。それか努力するか。シェイプなんかは、SLの中だけですべて出来るので、とりあえず最初のうちはシェイプの調整から挑戦してみたらどうだろう?
数値をいじるだけだから、これならなんとかできるかな。
思い通りの体型にするのは、それなりに大変だけど、これを変えるだけでも、それなりに個性的で野暮ったくないアバターになれるよ。
あとは、キミのセンスとやる気次第だ!
ちなみに、SLのデフォルトのアバターは190cm近くあって、これを基準にいじる人が多いのでSLのアバターは高身長が多いんだよ。
どうでもいい豆知識が飛び出したところで、僕もガンバルゾー!
ヒヨコ豆だね。
なにそれ?
ヒヨコ豆はスペイン語でガルバンソというんだ。
……豆知識ってこと?
マグスル second life セカンドライフの遊び方マガジン
magsl 2007/01/03











